変転

的野 安珠

作者によるコメント

真っさらなキャンパスが、徐々に侵食される。
全て覆われても侵食は終わらない。
今度は壁へと伸びてゆく。
作品内の他人の出来事がこちらに足をいれ、
はじめて事態を把握する。
自分ごととして考えることが出来る。
作品ではつくっていない今後の拡がりが
鑑賞者の想像で展開される。

担当教員によるコメント

生活の利便のために取り入れた道具によって反対に自分の生活が変化してしまうことがある。的野の作品はそこへの気づき、違和感から始まった。このような着想は具体性のない感触のようなものであることが多いが、そこを起点にスケッチや模型、スタディーやテスト重ねながら、何をすべきかのコンセプトを固める指導に的野は沿った。彼女は増殖を示すチップの集積の感触を手掛かりに、チップの大きさや形、集まり方などを何種もの粘土で試し、さらに焼成の条件も変えるなど試験焼成に時間を割き、陶素材の触覚的な効果を吟味し表現を組み上げた。同時に、展示状態の視覚的な効果を紙の実寸法模型でスタディーし検討していた。着想から仕上げまでの、汎用性の高い「作る力」を、4年間の実践で身につけたことを喜びたい。

教授・尹 熙倉

  • 作品名
    変転
  • 作家名
    的野 安珠
  • 作品情報
    作品形態:壁掛け
    技法・素材:陶、粘土に竹べらを差込み持ちあげるを繰り返す
    サイズ:(画像1右から)H450×W320×D60mm、H450×W320×D60mm、H450×W320×D90mm、H450×W320×D70mm、H480×W320×D160mm、H500×W320×D160mm
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