浮世に漂う

幸坂 賢吾

作者によるコメント

この作品は、身近なものや現象に対する視点、発見の展示である。誰もが見たことがある煙が展示の題材。決まった形を持たない煙を「線」「角」「丸」をもとにした12通りの規則的な形で操作することで煙の新たな様相が見えてくる。現象をそのまま展示することで、プロダクトやインスタレーションなど様々なスケールで想像する楽しさと自由さが伝わるものにした。

担当教員によるコメント

「身近なものや現象に対する視点」をテーマにした作品。お香から立ち上る煙に着目し、その自然に起こる揺らぎ、霞み、消失する様を、あらためて見直そうという試みである。光と影によってモノの存在が示されるように、煙もまた光によってその揺らいだ存在をみることができる。点、線、面といったプリミティブで小さな穴から立ち上る様は、身近な現象でありながら、見たことがない世界観を生み出すことになった。あまりにも身近だった煙を違った視点でみせることで、価値観の転換、インスパイアされる作品となった。自然現象から派生した記憶には普遍性があり、そこには感覚世界に訴える力を最も感じる。

教授・米谷 ひろし

作品動画