悟りー梅雨の季節山登りを楽しめる装置

劉 丁源

作者によるコメント

「日々是好日」ーー悪い日がそのままで、よい日に転換する。
今回私は、この禅語から着想を得て空間をデザインした。

梅雨の季節に山を登る人は少ないが、梅雨の山も沢山の魅力に溢れている。山を登りながら、山の中に分布される装置と周囲の風景を融合させ、最大限に人の五感を生かす。梅雨時期の山の不思議さを伝えるデザインを提案する。

例えば雨の日、鏡のような板はキラキラと反射する。木の穴から雨と光が降り注ぎ、風が通ると雨の香りがする。水溜りは日差しを受け、柱や天井に波紋を映し出す。それをぼんやりと眺め、水のせせらぎの音を聞き、雨で溜まった水を浄化して飲む。雨を楽しむための感覚的な装置や、変化に富んだ空間が、再びここを訪れたいと思わせる。

もし実現したら、多くの人に雨を再認識させる魅力的な施設となるだろう。

担当教員によるコメント

五感を研ぎ澄まして、自然から何を感じながら自らの内なる心と対話する空間づくりがこの作品だ。森の中で雨の音、光、などを人間が少しだけ手を加えることによって、普段気づきにくいものを、可視化したり、より身近に感じたりする工夫がなされている。これらは森の中に設置する装置だが、デザインすることにより更に身近にその魅力を感じられるようになされている。一方で既存の休憩施設を増改築しより魅力的に計画している。その内容は建物のみに留まらず、建物周辺も計画域に取り込み、周囲の環境と一体となった場所にしている。豊かな自然を守りながらも少しだけ手を加えることにより、自らの心と向き合える内容だ。

教授・枡野 俊明

  • 作品名
    悟りー梅雨の季節山登りを楽しめる装置
  • 作家名
    劉 丁源
  • 作品情報
    ランドスケープ設計、模型
    素材・技法:スチレンボード、黄ボール紙、ヒノキ角材、塩ビ板、プラスチック板、和紙
    サイズ:敷地模型=H1030×W1456×D400mm/装置模型×7=H594×W841×D230mm
  • 学科・専攻・コース