想像の共同体(Imagined community)

LAU PO SZE GLORIA

作者によるコメント

高層住宅地に囲まれた南千住駅北口、市民たちにとって集会場の役割を担う多用途公共施設を提案した。
普段、我々の社会に対するイメージは非常に多面的である。例えば産業社会、知識社会、情報化社会など、社会をどのような視点から捉えるかによって、「社会」という言葉の前に付けられるキーワードは変化する。「消費社会」もまた、その一つである。
現代の消費社会の中でお金を払わずとも、異なる年齢層や文化背景を持つ人を誰でも受け入れ、安心して居られる溜まり場のような複合施設を創りたいという思いから、デザインを考えた。
市民たちがこの施設を利用することによって、他者の存在を感じ、それぞれの日常生活で慣れ親しんだ横社会とは異なる年齢層のコミュニティや、そこでの会話、経験が記憶として刻まれ、一人一人からの知恵を集落の知恵として引き継ぐことも可能になった。

担当教員によるコメント

作者は「多様な人々のつながりと、安心して日常に利用することの出来るコミュニティ空間」を地域に作ることを目的として、南千住駅北口の高層住宅群に囲まれた地域の公園内に公共複合施設を設計した。建築は図書館・公民館・市民ホール・セミナー空間・カフェなどから構成され、地域の人々のたまり場として提供される。各施設には、意識的に異なる用途を隣接させることで、街中のような多様な出会いが仕掛けられている。ゆったりとした大屋根の下に、四周をガラス張りにした建築となっている。2カ所の大屋根の掛かったエントランスからは中庭に入ることが出来る。中庭は、地域の人々が安心して使うことの出来る心地よいオアシスとして設計されている。都市的スケールが良く出来ている。

教授・田淵 諭