海をキリとる小屋

河内 実紀

作者によるコメント

“暮らしの中で自然をより近くに感じること”をテーマに日本全国に点在する海好きによる海好きのための宿泊施設を提案する。今回の卒業制作では、北海道の能取岬、静岡県の大瀬崎、瀬戸内海の海を敷地に想定し、流氷、富士山、瀬戸内海の島々が見える海をキリとる開口部にこだわって設計した。会員になると日本全国の小屋が使えるようになり、自然とともに過ごすことで一度として同じ顔を見せることのない海の色、匂い、風、波の音を感じることができ、それぞれの日常や創作に活かすことができるのではないかと考えた。リモートワークが主流になりつつある現代だからこそ、少し足を伸ばして自然とともに暮らしを営む未来を想定して提案する。

担当教員によるコメント

海を楽しむための最小限の宿泊施設の計画である。ホテルのようなサービスはないが、簡単にレンタルできて、ひたすら海と向き合う時間を過ごすための小屋たちである。様々な表情を見せ、様々な楽しみ方がある海、日本各地の特徴的な海岸を選び、そこで海の景色を楽しみ、アクティビティを楽しむための空間が用意されている。卒制として今回具体的にデザインしたもの以外にも全国に展開できるシステムとして提案している。しかしどこにでも置けるデザインをめざすのではなく、各地の地形や景観に合わせてふさわしい形態や規模を探しつつ、一貫したテイストでまとめるよう配慮されている。個々のデザインだけでなく宿泊システムの提案も含めてよく考えられているところが高く評価できる。

教授・岸本 章

  • 作品名
    海をキリとる小屋
  • 作家名
    河内 実紀
  • 作品情報
    図面、模型、スケッチ
    素材・技法:スチレンボード、スタイロフォーム、画材
    サイズ:D600×W300×H400mm(3点)
  • 学科・専攻・コース