ombre

永田 爽寧

作者によるコメント

光=影
私は今までの学生生活で光や影をメインに制作をしてきた。
この卒業制作は学生最後の制作であり、いつも使っている場所に自分の作品でもある光がひとつ加わるだけで違う見え方になるのではないか。

外に出て目にしているモノそれは自然だ。
季節が変わるたび葉は緑になり、枯れ散る。
しかし、葉を拾ってよく見たことがあるか。
一枚一枚ちゃんと生きるために水や養分が流れ込んでいる。
私は今回卒業制作で日常の中に光をひとつ加えることで新たな空間作りを目指した。

担当教員によるコメント

永田さんの光による空間表現のアプローチは一枚の素材=スケルトンリーフを手にしてから、迷うことなく一途にその素材と光の探求に傾けられました。影をつくる投影実験は自宅、大学や照明スタジオなどあらゆる手段を模索しつつ、一つの発光体へとデザインが結実していきました。
光をデザインする上で、「ひとつの光」が放つ光のグラデーションは空間の情緒をつくる最も大切な要素と言えます。我々は恵まれた文明社会の環境の中で溢れる光の中で素朴で美しい「ひとつの光」のメッセージをともすると気づかずにいることも多いのではないでしょうか。
スケルトンリーフだけで紡がれた空気のようなシェードがゆっくりと風に回り、普段慣れ親しんだ場所にある机や壁、床に柔らかく投じられた自然の素材を透した「ひとつの光」はそれに接する人々それぞれの回想の世界に溶け込み現実と内にある情緒をつなぐ心に響く光のデザインとなったと感じています。

非常勤講師・内原 智史