泣きがらに語り

香川 木麦

作者によるコメント

「生きていればいいことがある」わたしはいつから
そんな言葉をかけなくなったのだろうか。
愛するということは、励ますことでも、
奮起させることでも、決断させることでもなかった。

ほら、なにか話そう。

担当教員によるコメント

3年次には、視覚障害者と健常者の日常を比較させることで、毎日を大切に生きることを鑑賞者に伝えるインスタレーション映像を制作した香川。そんな繊細な題材を映像作品のテーマとして扱ってきた香川は伝えることに執着する。今回は、心に病を抱える人に寄り添う人の視点に立ち、二人の人物の会話を通して、鑑賞者にその苦悩や葛藤を伝える作品を制作した。歩いている二人の背中というあえて単調な表現。言語は聞いたこともない謎の言語。その日常がしだいに壊れていく。物語が進むにつれて次第に観る者を捉えて離さない。非常に難しいテーマだったと思うが、鑑賞者の気持ちを少なからず、ざわつかせることができたのではないか。

教授・大貫 卓也

作品動画