DX大局将棋

笠井 大雅

作者によるコメント

この作品は「駒の動きが複雑で種類が多すぎる超巨大な将棋」を誰でも簡単に遊べるものにデザインし直したものである。しかし、遊べるようにしたはいいものの遊びたくは無いと言う本末転倒な作品でもある。大局将棋とは実在する古将棋の一つである。完全に悪ふざけで作ったとしか思えない駒の量は敵味方合わせて804枚。バラエティー豊かな駒の名前にも是非注目して欲しい。

担当教員によるコメント

大局将棋は古将棋のひとつで、自軍だけで402枚もの駒を使用します。この大局将棋のリデザインを試みた笠井大雅さんは、すべての駒の文字を考案し、それぞれの進行方向を視覚化しました。着色はすべて手作業によるものです。盤面に整然と並んだ402枚の駒の様子は壮観そのもので、ゲームの世界観と構成原理が、まったく新しく、見事に視覚化されています。同時にこの作品に注がれた途方もない労力が想像されます。このような題材を卒業制作という場で取り上げたこと、自ら取り上げた題材に正面から取り組み、それをやり遂げたこと、そしてできあがった作品の完成度とそこから感じられる心根を通じて、笠井大雅というひとりの人物、ひとりの学生による、自ら求めるデザイン/デザイナーの姿が、真摯に表明にされているように思えます。

准教授・佐賀 一郎