君と過ごす時間分の1秒

高田 このみ

作者によるコメント

私は4年間ペットの鉛筆画を描く活動をしていました。
似顔絵の数だけ飼い主さんの想いに触れました。
描く1枚の背景には家族と過ごした時間が流れており、その時間を感じて描くことに価値があると気づきました。
そんなペットを想う家族の気持ちに応える新しい似顔絵の形です。ペットの似顔絵に描かれた一瞬と、背景に流れる家族と過ごした時間を描いています。

ペットの似顔絵に飼い主のアニメーションを投影し時間軸を持たせました。
飼い主とペットを解像度の違った表現にすることで、遠くからみると家族の像が浮かび上がり、近くで見ると鉛筆の描写が楽しめます。
自身の家族をモチーフにし、さりげなくも愛おしい日々の一瞬を描きました。

担当教員によるコメント

人が永遠を感じるために必要な時間はどのくらいだろうか。1年、10年、100年?作者が出した答えは1秒。きっと永遠を感じるために必要なのは量としての数字ではない。では1秒の中に一体何が詰まっているのか?その答えがこの作品の中にある。生き物と暮らす中で積み重なる様々な瞬間を作者は鉛筆でのスケッチと映像を組み合わせて表現した。その1秒の中に詰まっている情報は濃厚である。音、匂い、柔らかさ、気配、温かさ、鼓動、愛おしさ、言葉にできない全てのこと。生き物と暮らす以上、永遠はない。いつか別れが来る。だからこそ1秒を大事に、噛み締めて、1秒を見つめて生きよう。そんなメッセージが聞こえてきそうな作品である。

講師・清水 淳子

  • 作品名
    君と過ごす時間分の1秒
  • 作家名
    高田 このみ
  • 作品情報
    鉛筆画、プロジェクションマッピング
    技法・素材:MadMapper、Illustrator、PremierePro、AfterEffects、鉛筆、画用紙
    サイズ:H2000×W6500×D15mm
  • 学科・専攻・コース