幸服

三好 るき

作者によるコメント

亀田製菓のロングセラー商品である「ハッピーターン」
味はもちろん、パッケージなどの包装も含めて私はこのお菓子が大好きだ。
包み紙の小ネタを読むことや、ラッキー包み紙を探すことも楽しみの一つだと考えている。

しかし一般的には、包み紙まで目を通すことなくゴミにされることや、過剰包装で廃止すべきだと問題にされがちである。
そのことを私はもったいなく感じ、素材として作品に生かすことは出来ないかと考えた。

使用枚数はハッピーターン約4000個分、袋でいうと約150袋分程。
テープなどは一切使わず、ホットシーラーの熱のみで接着している。
本来はお菓子の包装紙であるものを、人間が身を包んでいる衣服(=ドレス)の形にする事で「包む」という共通点を持たせた。

担当教員によるコメント

「幸服」と名づけられたお菓子のオレンジ色の包み紙でできたドレス。「ハッピーターン」というお菓子が子どもの時からずっと好きだったから、その包み紙を利用して作ったということで、コンセプトはシンプルである。3年の時にプロトタイプとなるシャツが登場し、卒業制作では豪華なドレスにグレードアップした。好きなものをシンプルに好きであると、そのまま表現するのは進化したアート界では意外とむずかしいものだ。しかし、有名ポータルサイトで紹介されて全国的に注目されたのは、そのストレートなメッセージが届き、「ハッピーターン」が好きすぎて包み紙に関するマニアックな一面も披露する作者のキャラクター像が、ドレスを通じて浮かび上がるからだろう。

教授・森脇 裕之