祈誓名録

坂口 薫り子

作者によるコメント

名前が人と成り、人が名前と成る。
もし違う名前だったら、どんな人に成り、どんな人生を歩んでいただろうか。

10冊の写真集と「願い」から自分の名前を考える名前目録を制作しました。
写真集は1人1冊として、10人撮影したものをそれぞれまとめました。頁を捲るごとに名前が変わり、同一人物でも印象が違って見えます。まるでそれぞれの人生があるように錯覚し、名前が人に与える影響を体感できます。

名前目録には願いを中心に考えた名前を約300個収録しました。他にも名前の歴史の頁や架空の人がどのように名前を決めたのかを語る頁があります。

担当教員によるコメント

制作途中でのタイトル案は「ふたつめの名前」だった。それは正に作者の坂口自身が求めていたものだった。「薫り子」という本名により幼い頃から様々な経験をしてきた彼女は、卒制として名前について様々な調査を行い、自身が願いを込めて300以上の名前を考案した。それらに性差はなく、その名前自体がとてもクリエイティブな作品とも言える。そして、その名前を用いて制作した写真集は、同一人物でありながらページ毎にその名前の人物として人生を送っているように見えるとても不思議で魅力的な写真集となった。それを実現させたのはフィルムカメラで撮影した写真のクォリティーの高さであろう。本人の個人的な想いから始まった研究と制作は、見るものを自由に解き放つ作品へとなった。

教授・宮崎 光弘

  • 作品名
    祈誓名録
  • 作家名
    坂口 薫り子
  • 作品情報
    写真集、冊子
    技法・素材:インクジェット紙、手製本(写真集=中綴じ/冊子=無線綴じ)
    サイズ:写真集=W420×H297×D2mm/冊子=W297×H235×D19mm
  • 学科・専攻・コース