回転する静物画, 絵画×アニメーション×インタラクション の作品

藤岡 真祈

作者によるコメント

心地の良いインタラクションと美しいグラフィックが融合したとき、人は驚いたり、何度か繰り返し遊んだり、記録や共有をしたり、そして楽しむことができます。そんなゲームのような体験に私は興味がありました。
そこで壁に飾られた一枚の絵画を鑑賞するとき、その絵画が自分の動きによって変化したら面白くなるのではないかと思いました。
45枚の油絵の具で描いた絵をアニメーションにし、手前に設置された踏み台に乗ることで、静止状態であった静物画が回転しはじめます。
絵画を鑑賞すると同時に、遊びとしても楽しめる体験型の作品です。

担当教員によるコメント

藤岡は、自身の思い入れが強い「油画」という伝統的な表現手法を用いながら、そこに動きや反応性を与えることで新鮮な鑑賞体験を創り出したい、という動機でこの作品を制作した。絵の前に立つと絵が回る、という極めてシンプルな構成でありながらも、随所に盛り込まれた細部の工夫によって、クオリティの高い鑑賞体験を生み出すことに成功している。油画のマチエールを生かし、絵の撮影状況と作品展示状況のライティングを合わせたことや、光沢のないディスプレイを額装したことなどによって、そこにディスプレイではない「絵」そのものがあると鑑賞者に錯覚させ、絵が突然動きだすことへの驚きを生み出す。そしてこのような綿密な舞台設定を背景に、一枚一枚の絵に込められた制作の密度こそが、このアニメーション特有の見応え、快感を創り出している。

教授・中村 勇吾

作品動画

  • 作品名
    回転する静物画, 絵画×アニメーション×インタラクション の作品
  • 作家名
    藤岡 真祈
  • 作品情報
    技法・素材:油絵具、キャンバス、モニター、arduino、unity
    サイズ:H1700×W1000×D1800mm(1点)、H273×W220×D40mm(45点)
  • 学科・専攻・コース