ゆめうつつ

加藤 鈴葉

作者によるコメント

眠りの神 ヒュプノスによって眠りに誘われた現実の世界と、幸夢と悪夢が佇み、たゆたう夢の世界を描きました。
場面が急激に変わったり、幸夢を見ていたはずが悪夢に変わっていたりと、私は夢に幾度となく翻弄されてきました。
手話やハンドサインといった視覚言語を取り入れたり、モチーフを幾何学的、装飾的なかたち、模様に構成した絵づくりをしています。

担当教員によるコメント

謎かけのようにさまざまなモチーフが現れる。見ているとそれに従ってひとつのイメージが作られ、また次のイメージに移行して行く。現実の世界と夢の世界、良い事と悪い事、神話や宗教、古代と現代、さらにハンドサインや手話といった直接的な言語もあり一見するとバラバラしてひとつの大きなイメージを持ちづらいかもしれない。が、しかしそれは大きな世界の縮図を描くという大きな目標のためである。
こうした手法の基本は古代から中世の壁画の研究からヒントを得ているのだが洋の東西にとらわれず画面の中に今の世界を作ろうとしているところがこの作品の面白みである。この先加藤さんの興味や関心がさらに広がったりまたは深くなったり揺らいだりすることで作品がどのように展開しどのような画面になって行くのか大いに楽しみである。

教授・加藤 良造

  • 作品名
    ゆめうつつ
  • 作家名
    加藤 鈴葉
  • 作品情報
    技法・素材:岩絵具、土絵具、箔、色鉛筆、クレヨン、高知麻紙
    サイズ:H1700×W2730mm
  • 学科・専攻・コース