Blooming proudly

通木 菜々絵

作者によるコメント

花は凛とした周りを包み込むような優しい雰囲気でいつも私を癒してくれる。それと同時に誇り高く、強く咲く姿に生命の大きな力を感じ、その姿に私は日々元気付けられる。そんな花から感じるイメージを作品に表現した。
これまでは枯れかけた花の花びらにできたシワや、独特の色の変化に生き物にしか見出すことのできない魅力を感じ、枯れ朽ちていく花の美しさをテーマに制作していた。卒業制作では枯れた花ではなく、誇らしく力強く咲く花を通し、生きるものの強さや生命のエネルギーを主題に制作した。

担当教員によるコメント

画面いっぱいに描かれた、巨大な花。これはトルコ桔梗の花弁を一枚一枚組み合わせ、一つの花に仕上げたものである。
作者は、ここ数年、痛ましく枯れかけているような花の姿を描いてきた。盛りを過ぎた、なんとも言えない厳かな色彩を纏い、不可解な形と質感によって、魅力的な作品を描いていた。
ところが一転してこの作品。痛ましく、枯れかけた花弁は存在しない。皺の一つ一つを省略することもなく、克明に描いているはいるが、あくまでも立体的な造形物として、花の生命感と、その美しさを描き切ろうとしている。
周囲を圧倒するようなものでは無い。むしろ周囲を包み込み、優しく癒してくれる存在。そんなものを、目指しているだろうか。生命のエネルギーが華やかに溢れている。どこまでも伸びやかに、おおらかに、外側に向かい、力強く、造形的である。

教授・岡村 桂三郎