A. Puddle in the Valley, B. Bullet Flower Fire/Free Translation

橋場 みらん

作者によるコメント

沢山の人間によって一つのことに色んな方向へと異なる解釈が生まれる。
関係が作られることによって色んなものが何百年何千年と、複雑になり枝分かれしていく。しかしそれは実はすでに存在する何かの繰り返しかもしれない。
信じることで得るものもあれば失うものもある。正しいと思っていたことが実は正しくないかもしれない。ふとした視線が無知であることから生まれた偏見の時もある。
違うものを拒む前に、その存在を見つめてみる。どこかで繋がりを見つけられるかもしれないし、もっとはっきりした境界が現れるかもしれない。
全てを拾い上げるのは難しいことだけれど、作品で表現することで向き合って生きていきます。

担当教員によるコメント

橋場さんは、「同じ世界で、違う世界で生きている」という言葉を、自らの作品を説明するときにつかっている。一見、当たり前のことを言っているように聞こえるが、異なる二つの世界の在り方を並列させ、同質に、矛盾を孕みながらひとつの世界とする言葉である。大抵は、どちらか片方に偏重する考えを持ち、その片方の世界のなかで思考し、そして表現が行われる。しかし橋場さんの作品からは、矛盾を肯定的に、また同一的に捉えていく表現を感じるのである。それは、ピュシス(自然)のなか、例えば細胞の分解と合成の関係性にとても似ている。実際、分解と合成は順序立ててその性質を繰り返しているわけではない。細胞は矛盾しながらも分解と合成を同時に起こしているのだ。分解は合成であり、逆も然りである。橋場さんの作品の強さは、この根源的在り方の自覚にあると思われる。

教授・栗原 一成

  • 作品名
    A. Puddle in the Valley, B. Bullet Flower Fire/Free Translation
  • 作家名
    橋場 みらん
  • 作品情報
    素材・技法:キャンバス、油彩
    サイズ:H130.3×W162.0cm
    素材・技法:キャンバス、油彩
    サイズ:H194.0×W259.0cm、H162×W224cm
  • 学科・専攻・コース