四人称視点の休日
ヒキタサエ
作者によるコメント
おちつけ(2021/03/15/02:08)
担当教員によるコメント
引田さんは、「4人称視点」という外山滋比古の概念を元に、ゲーム空間や現実空間、あるいは、脳内空間の発生と成立の条件を探る優れた表現者である。4人称とは、ここでは現場に介入してくる外部を構成する認識作用そのものである。多彩なインスタレーションによって構成される作品群は、見る者の介入によって瞬時に視点の変化をこうむる多義的で開かれた認識の装置群である。がっしりとしたシュール的な樹脂のソファは、現実のリビングルームに置かれると同時に、異界認識者のためのゾンビ的デッドルームのためのものだろう。このような感受性は、彼女のゲームへの解釈に多くを負っているが、箱上立体の空間内に配置される小型モニターや、表裏が貫通する絵画は、単純な解釈を拒む、多層化された認識空間に生きる作家が自らホムンクルス(脳内のコビト)となり、再構成したこの現実の世界像なのである。
教授・中村 一美
- 作品名四人称視点の休日
- 作家名ヒキタサエ
- 作品情報素材・技法:ミクストメディア
サイズ:可変 - 学科・専攻・コース
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