大地燦々, ここに在る ここに居る

大内 里紗

作者によるコメント

移ろいゆくこの世の中で、自分が美しいと感じること、ものが、自分が生きているのと同じ時間に存在していることは、いま確かなこととして私を支えている。それらとの出会いと発見を記録するように、制作をしている。
いま確かだと信じることができていることも、いつか変化して、いまと同じように感じることはできなくなるかもしれない。しかし、いま確かだと信じていることを物として残しておくことで、その瞬間確かに存在したことを保存し、振り返ったときもその瞬間の感性を肯定したい。

担当教員によるコメント

対象がはっきりしているわけではない。どこか有機的である。ここでは様々なかたちが生まれていく。描きながら偶然生まれたかたちが別のかたちを生んでゆく。それらを目で追う喜び。でも、恐らくかたちを見せようとしているのではない。下半分の大きな面積は滲む光である。反射としての光は、当然そこにある物質の形状や質を示すものである。が、大内さんは、その正体を把握しようとするのではなく、反射により目の前の対象が何であるのかわからなくなっていく状況のほうに惹かれているようでもある。眩しくてよく見えない、掴めない、一瞬にして失われるかもしれないものこそが、この絵の中心なのかもしれない。作者自身が体験し発見した実感が、そのことを支えている。日々のかけがえのなさをそこに見つける。

教授・髙柳 恵里

  • 作品名
    大地燦々, ここに在る ここに居る
  • 作家名
    大内 里紗
  • 作品情報
    『大地燦々』
    素材・技法:キャンバス、油彩
    サイズ:H227.3×W162cm

    『ここに在る ここに居る』
    素材・技法:キャンバス、油彩
    サイズ:H194×W259cm
  • 学科・専攻・コース