だけど、コヨヰ、このYOルに。
葛西 里華
作者によるコメント
自粛期間中、漫画をよく読んでいました。卒業制作の作品は漫画のコマ割りに影響され制作しています。また、家の中の時間が多くなるにつれ、家の中のモノ、窓の枠、扉の枠、四角、家具の配置…も気になるようになり……。以前から興味があったコト。新しく興味をもったコト。今の自分と昔の自分。自分の描きたいモノ。自分の表現。少しずつ、確めながら制作しました。
担当教員によるコメント
絵画棟の壁をこれほど美しく感じたことは無い。アトリエで見た制作中の作品が1ミリのずれをも許さないポジションで響き合い、それぞれがその場で輝き始めていた。2年の頃、淡い色調の少女像が寄せ集めの角材で額装され、隅に小さく赤いリボンが付けられていた。「だけど、コヨヰ、このYOルに。」においても、葛西さんの囁くような施しの集積は、林でこだまする鳥の声のように空気を澄まし、耳元に届いてくる。板は複雑に彩色され猫のひっかき傷のような跡、逆さまや横に倒され記憶を辿るよう描き込まれた顔、フレーム?を超えて散りばめられた目、絵の淵に積み上げられた木っ端。一点に向かったならば、沼の水面を見ているような所在のなさに作品の魅力とこの人の深い感性に引きずり込まれそうになるのだ。
教授・村瀬 恭子
- 作品名だけど、コヨヰ、このYOルに。
- 作家名葛西 里華
- 作品情報素材・技法:ミクストメディア
サイズ:可変 - 学科・専攻・コース
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