paradise

XuLai

担当教員によるコメント

ジョ・ライはずっとクールで都会的な風景画を描いていた。しかしある時期からそれが一変し、非常に個人的で感情的な作風になった。その作風とは、ある事情により向き合うことを余儀なくされた「家族」の物語であり、家族が構成されることに伴う「男と女」の物語である。愛憎という言葉が色濃く漂う複数の絵画によるインスタレーションはいささか暴力的で、幸せな気配はそこにはない。それにもかかわらず、ジョの作品群がのびやかな希望を感じさせるのは、それまで彼女にとってどこか他人事のようだった絵画制作が、自らの想いを表現するための切実な手段となり、絵を描くことに意義と自由を見出したからではないだろうか。勢いのある筆致は次々と展開し、想いが形になる時間が観る者に伝わってくるのである。

教授・吉澤 美香