ファスニングから考える美容室のカットクロスの提案

松本 拓馬

作者によるコメント

美容室で使われているカットクロスの多くはマジックテープで留める仕組みだが、髪の毛が引っかかってしまうというという問題点がある。磁石で挟み込む構造にすることで、マジックテープに劣らない強度と調節性を実現させ、そのファスニング方法に合う腕の出し方や収納法を考えたカットクロスを提案した。また、美容室で細かい毛の侵入を防ぐために使用されるネックシャッターにはマジックテープが使われている事に加え、肌に直接触れるため汗や菌などが付着してしまう問題点がある。清潔に使用したいという思いを叶えるため、不織布を使用することで使い捨てを実現し、それに合わせたファスニング方法を設計した。

担当教員によるコメント

丁寧な観察と仮説構築、実験検証と改良という、実に地道な活動が革新的なデザインを生み出している。カットクロスについて、多くの人が日常生活の中でなんとなく体験を繰り返しているのではないだろうか。そのサイズ感と快適性への小さな違和感に気づき、浮かんだ疑問を放置せず、美容師の視点と客の視点を丁寧に行き来しながら作っては試し、外部から評価を得てまた改良する。「十分な保持とスムーズなサイズ調節の両立」というシンプルなテーマ設定によって、一つのプロダクトを介して実現できる心地よさを妥協なく探求したプロセスと、マグネットを利用した最終作品の完成度共に高く評価した。

教授・大橋 由三子

  • 作品名
    ファスニングから考える美容室のカットクロスの提案
  • 作家名
    松本 拓馬
  • 作品情報
    技法・素材:ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、磁石、ABS樹脂、不織布、ケントボード・裁縫、3Dプリント
    作品形態:衣服
    サイズ:カットクロス=W1475×H1900mm/ネックシャッター=W900×H770mm
  • 学科・専攻・コース