In the middle

香焼 知佳

作者によるコメント

本作品のテーマは「間」である。
木版画で制作する際の”面”的な要素と、モチーフである建物の立体的な構図の組み合わせに面白さを感じ、本作品を制作した。
前述にある二つの要素を混ぜて制作することで、抽象にも具象にも見えるような作品を目指した。

担当教員によるコメント

作者は、モチーフとなる建造物を写真に撮ることから制作を始める。地上から見上げ、また屋上から見下ろしながら、構造までも取り込みカメラにおさめていく。
そして、集められた建造物をパズルのピースのように解体・構成し、柔らかい色面の木版画へと展開している。
再構築された建造物達は、それぞれが自立した作品として制作されているが、作品を再度構成し、複数で見せることによって、縦横斜めと互いに共鳴しあいながら拡がっていく。
このキュビズム的視点は、日常の風景を新たに組み立てることで、普段の視線のありように疑問を投げかけ、見えない空間をも浮かび上がらせることに繋がっている。それは、鑑賞者に、目の前の出来事をどう捉えて認識しているかを、問い直す機会を提示しているのではないだろうか。

教授・古谷 博子