卒業制作優秀作品集2021
彫刻学科

森田 道尚

鐡 金剛夜叉明王全身像鉄

技法・素材:ガス溶接、ガス溶断、アーク溶接、溶断による切削、ドリルによる穿孔、ガス溶接による溶解、スプレー塗装、防錆加工
サイズ:H306×W195×D190cm

この作品のテーマは「怒りと救済」である。金剛夜叉明王は過去・現在・未来の悪を喰らい尽くし善を護る、息災健康、怨敵退散の御利益がある。この明王をモチーフとした作品を作る事でこの世の中に希望を見出すきっかけとなって欲しいという祈りと私自身の世の中に対する義憤を込めて作った。本来、金剛夜叉明王の所持する武器は金剛杵、弓、矢、宝剣、金剛鈴、羂索の6つであるが、一つの事を極め障害を穿つ姿にこそ人は希望を見出すのではないかと考え、一本の槍を持たせることにした。また、三つの顔と六つの腕をそれぞれ違う方向に指すことにより、自身の内なる怒りを爆ぜて、これから立ち塞がる壁に敵意を示す姿勢にした。

担当教員によるコメント

この作者はいつだって、まさに力技なのだ。 高さ3m を超える金剛夜叉立像はコロナ禍で作者が感じた憤りや祈りを込めて 制作された。 鉄板を叩き、鉄棒を曲げ、溶接、溶断を繰り返しながら力技でこの巨大な金剛夜 叉を立ち上げた。強大な手探りを遂行できたのは、まさにコロナ禍で生まれた森 田くんの信仰の力ではなかったか。 とにかく顔が良い。その顔を見ると、工業製品として生産された鉄材に土着的信 仰心が宿り初めている。無意識に行われたギリシャ彫刻的身体構造の解釈の弱 さは作者の今後の課題として置いておくとして、不可能と思われる事を真っ直 ぐに信じて作り通す純粋性をこれからも大切にして、制作に向かってほしい。

講師・中谷 ミチコ

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