卒業制作優秀作品集2021
彫刻学科

高木 奎輔

404

技法・素材:大理石、強化フロートガラス
サイズ:H40×W70×D70cm

何かと気持ちの浮かない日々の中、いつ終わるのかわからない不安が続いている。気持ちを整理する為、また今後の取り組みの為この作品を制作した。地球平面説のイラストとラウンド形のローテーブルの類似から始まった制作で、学校に行く機会が減り自室のテーブルでパソコンやスマートフォンを触る機会が増えた。外出を制限された事により卓上の機械によって知り得る情報が全てとなった。

担当教員によるコメント

Flat Arthur の存在は現世界の矛盾を象徴している。Qanon しかり、その根底にあるものは、世界を席巻するグローバリズムとGAFAによる搾取など、逃れることのできない強大な利権構造に対するささやかな抵抗とも取れる。ましてや移動の自由を奪われ、自室の中での「生息」を余儀なくされた日々によって、昨日まで無限の可能性と明るい未来を約束してくれていたネット「情報」でさえ、知らされるものしか知ることが出来ない、ただのモノになってしまったのからだ。作者は「外出を制限されたことにより卓上の機械によって知り得る情報が全てとなった。」と語る。そもそも情報=infomationの語源は、心においてform(形)を与えると言う意味で、ラテン語のinformationem(心=精神に形を与える)にあるとされる。強化ガラスの反射光と人類を象徴するかのような3本の白骨が凛と冴え、情報化社会に対する若者の冷徹なまでの眼差しが見事に表現されている。

教授・水上 嘉久

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