『ナニカ・ミーツ・ナニカ』共同(キャスト・スタッフ)卒業制作 演劇公演

日時:2020年12月26日(土)13:00・18:00、12月27日(日)13:00 全3ステージ
会場:東京芸術劇場シアターウエスト
ライブ配信:2020年12月26日(土)18:00
アーカイブ配信:2020年12月26日(土)〜2021年1月24日(日)

演劇舞踊デザイン学科の卒業制作について

演劇舞踊デザイン学科は、感性豊かな身体の表現者、創意豊かな空間を演出するデザイナー、劇作家、演出家等の育成を目的とした学科です。それらの専門性から演劇舞踊コースと、劇場美術デザインコースを設けカリキュラムを展開しています。 卒業制作は、学びの集大成として、両コースのコラボレーション作品を企画し公演を行なっています。

担当教員によるコメント

2020年、舞台芸術は混乱した。世界の誰も答えを持たなかった。演劇を学び、卒業公演をするはずだった学生たちはもちろん戸惑った。そして、会えないところから、ゆっくりと時間をかけて演劇をつくった。その集団は50名を超える。全員で集まることもままならない。それでも彼らは演劇を上演した。なんのために。彼らは「出会い」のためだと考えた。観客と、社会と、世界と、仲間と、自分と、出会うために。そして、彼らは出会いの演劇の中で舞台上に「祭り」を生み出した。あらゆる「祭り」が中止、延期となった2020年。それが当然だと考えられた世界の中で、人類に必要なのはやはり「祭り」だと作品は語った。それは一つの批評だったと思う。私はその批評の鋭さにこの作品の価値を見る。

講師・柴 幸男(監修)


『ナニカ・ミーツ・ナニカ』まさしく今の世の中における不確定な時代、我々を取り巻く環境が目まぐるしく変化していく時代にふさわしい作品であった。それに加えてのコロナ禍。コロナ禍と戦いながら、今までわからなかったことがわかり、今までできなかったことでき、いままで考えなかったことを考え、もちろん平穏無事にこしたことはないが、それでは人間の成長はどこかで止まってしまう。危機こそがそれを乗り越えて、または乗り越える努力をして成長を促していくだろう。大学での4年間、大なり小なり壁にぶつかり、困難を乗り越え、その成長の証として、ようやく辿りついた、卒業公演の最終公演の終幕、誰一人として欠けることなく(奇跡の全員PCR検査陰性)、卒業上演実習という枠を超越して、全員が今ここに存在していることを証明したのが『ナニカ・ミーツ・ナニカ』ではなかっただろうか。

教授・金井 勇一郎(舞台美術)


企画立案会議はオンラインで始まった。沈黙な時期もあった。どうしたら、上演に漕ぎ着くことができるだろ?果たして、難破しそうな泥舟を55名の学生たちが漕ぎ切った。振り返れば、困難な状況においても、思考や創造がもたらす豊かな喜びが現場にはあることがくっきりと見えてくる。4期生の卒業制作・演劇公演は、企画立案のゼロベースから学生たちが取り組んだ。学科としては、この取り組みに大きく舵を切った。高くて、深いハードルの設定にコロナ禍がぶつかった。そして漕いだ。漕ぎ切った。
“文化芸術“が、生きる力になることを示し得た活動となり、作品として生まれ落ちたことを喜びたい。
衣裳デザインは、すべてのキャラクターを愛おしい存在として捉えることで、物語世界を観客に届けることができた。幕開け・幕切れをユニゾンの衣裳とすることで、思考の入り口を投げかけることができた。
プロデュースチームは、現場のネットワークの創出と感染予防に汗をかき、作品を観客に届ける方法にも大汗をかいた。果たして4期生の企画は、 イマ・ココとミーツする作品に育ったのだ。

教授・加納 豊美(衣裳・プロデュース)


演劇舞踊デザイン学科 第4期生の卒業制作演劇公演は2020年12/27に無事終演できました。今回の公演で特質すべきはコロナ元年に上演された事でしょう。企画段階から上演のあり方に付いて学生たちは議論や模索を進めるうちに、演劇上演の価値や意義に付いておもわざるを得ませんでした。「おもう」と云う営みは思考の更に奥にあるものです。災害は「おもい」を大きく変更させます。かつてのアメリカ同時多発テロや東日本大震災も世界のありようを変え以前の自分には戻れまいと先人達は感じました。
同様に、卒業制作として演劇公演を上演する事が当然として入学した若者たちにとって、自身の人生と世界の価値と意義についての哲学的見地に立たされたわけです。果たして上演する価値は何か?人類史上様々な厄災を歴史は乗り越え「音楽」も「演劇」もあらゆる芸術は常に変化し現代に息付いている事を再確認し「上演」する意義に気づき始めた頃、議論は活発化し軌道に載せられたと思います。価値とは成し遂げる勇気と決断である事に結論出来たのだと考えます。

教授・成瀬 一裕(照明)

クレジット

脚本:南雲 沙希/堀野 愛
演出:村上 さくら 演出助手:田坂 郁恵
振付:小畑 水芙

美術デザイン:山根 茉子
大道具チーフ:上村 詩帆
小道具チーフ:丸島 たまみ
大道具・小道具・演出部:笠原 ゆず花/清田 暉/SHEK Ho Chi/津布久 綾乃

舞台監督:吉原 穂乃実

衣裳デザイン・製作: アスクゥイス 凛乃/木下 裕絵/髙仲 風美/丸山 眞鶴/渡邉 美穂/岸 直輝
衣裳製作:山口 眞子

照明プランナー:荒牧 百花
照明操作:合谷 柊音/櫻井 知遥/碩 紫音

映像配信ディレクター:鈴木 海人

出演:
青木 彩乃/荒木 美帆/井澤 智/上野 勇之介/小澤 千冬/小畑 水芙/金澤 史苑/北実 怜/下川原 裕香/砂田 ひかる/田坂 郁恵/千葉 永輔/ZHAO Songqiao/中島 悠/中村 葉月/中村 遥/中村 友美/堀野 愛/前岡 由惟/松井 千紘/松永 治樹/松野 花帆/松山 剛士/村上 はな/薮田 凜

プロデュースチーム
チーフ:藤井 智資
石関 菜月/大井 朝登/金沢 菜花奈/佐々木 兵太/武石 凌太郎/竹村 真珠/中村 葉月/近永 知里/松野 花帆/村上はな/古家 未葵/宮城 円香