Tactile Healing

米川 唯

作者によるコメント

触れる(触覚)ということは、私たちが思っているよりもずっと大切な感覚である。
ふわふわの毛布、ふわふわの縫いぐるみ、ふわふわな毛の生えた小物、そしてふわふわの動物。
何故だかとっても触れたくなり、触れると癒されるのではないだろうか?
私は疲れた時や嫌なことがあった時、暖かい毛布に包まったり動物たちと触れ合うことで癒しをもらっている。
そんなふわふわを纏うことで身につける人は勿論、周りの人の心も癒し、皆が優しい気持ちで暮らせたらという願いを込め、この作品を制作する。

担当教員によるコメント

柔らかさで社会の課題を解決できないだろうか。ニットは柔らかくそのためファンが多いことを、本人は授業を通じてよく理解していた。皆が同じ悩みをもつことは、世界中が経験していた2020年の出来事だけではないし、すぐには対処できない地球環境の問題や、誰にでもある悩みや、苦しみだってある。本人はこれらを、優しくニットで包み込み癒すことで課題解決に導けるような作品をヨコ編み機でつくり上げた。展示用のマネキンの表情は沈黙しているようだが、見る人に逆の効果をもたらしていると感じた。手のひらに乗るくらいの「ヤワラカな相棒」が本人の家に同居していたことでコンセプトが浮かび上がったようだが、毎日会話することで得られたその感情を最後まで諦めずに表現したのだと思う。

教授・藤原 大