砂の惑星の神話学, ──サイエンス・フィクションとカウンターカルチャーの邂逅──

齋藤 鈴花

作者によるコメント

1963年にSF雑誌Analogで発表されて以来、幾度の書籍化や映像化を通して人々に親しまれてきた、フランク・ハーバートの『デューン 砂の惑星』。その創作過程には、ハーバートの半生と執筆当時のアメリカ社会が色濃く反映されていた。
本論では、小説『デューン 砂の惑星』と、50年代から60年代にかけてアメリカ西海岸で発生したカウンターカルチャーを軸として、サイエンス・フィクションの神話的解釈を試みる。

担当教員によるコメント

齋藤さんの博覧強記ぶりには、日頃のゼミ活動のなかでも驚かされていました。彼女が卒論の目次をつくるなかで、デイヴィッド・リンチやドゥニ・ヴィルヌーヴらによる映画版を切り捨て、フランク・ハーバートの原作小説『砂の惑星』と、彼が執筆していた時期の60年代におけるアメリカ西海岸のカウンター・カルチャーからの影響に焦点を絞れたことが成功だったと思います。万能の物質メランジ、救世主信仰、砂漠の民などトピックの立て方も的確で、英語文献にも丁寧にあたりながら、小説版の世界を深く掘り下げることができました。全体としては、小説論というより「SF小説の神話的な読解」という印象が残る論文になっています。今後も執筆を続けることを期待したい、若き才能のひとりです。

准教授・金子 遊

  • 作品名
    砂の惑星の神話学, ──サイエンス・フィクションとカウンターカルチャーの邂逅──
  • 作家名
    齋藤 鈴花
  • 学科・専攻・コース