ヨウソロ

村越 敬太

作者によるコメント

巨大な存在が持つ圧倒的な存在感や迫力。それは好奇心や憧れを呼び起こし、想像を膨らませ、畏敬の念を抱かせる。長い時間をかけて作られた古代の巨大建造物の美しさ遠い懐かしさ。大きな作品だからこそ伝えられる魅力があると思いこの舶を制作した。
大量の素材との関わり、積み重ねた時間、行為の蓄積が情報量となり密度のある作品となった。自分自身を超えた大きな作品と向き合い、自分自身と闘い心身を擦り減らし文字通り命を注いだ作品は紛れもなく自身の存在証明として残るだろう。

担当教員によるコメント

村越敬太が数年前に描いたやや大きな紙面に、消え入るような筆圧が印象的なドローイングが忘れられないでいる。見過ごしてしまいそうな程の圧力はかなり控えめではあるが、獣の頭部を被った人物やその他の登場事物が間隔を置いて配置されている。彼の見ている物語の中へ強く引き込まれてしまったに違いない。今回の大作はそのドローイングとは対極に度を越す質量、彼が自らの身を削った過重な労働力によって観る人を確固として圧倒する。しかし見間違えてはいけない、我々が享受しているのは、困難な道のりのなか諦念することなく彼自身が観たいと希求する物語の形である。素材という目の前にある存在に向けた、彼自身の不断の感応と行為の継続によって完結された物語の形象化である。

教授・井上 雅之

  • 作品名
    ヨウソロ
  • 作家名
    村越 敬太
  • 作品情報
    作品形態:床置き
    技法・素材:陶
    サイズ:H2650×W1500×D3300mm
  • 学科・専攻・コース