これまで。これから…

岸 明里

作者によるコメント

“基となる立体の表面に、花の粒を貼る。”
そのような単純作業の繰り返しから、自分とモノとの関わり方を見ることができます。

一面に広がる花畑を見た時、何気なく花壇の花を見た時、地面や葉の色は地となり、花びらの鮮やかな色が図となって浮き出て見える時があります。

“無意識の時だから見えるもの"と"意識しないと見えないもの”
“無意識に手を動かして出来るもの"と"意図して作り出すもの”

花畑で得た感覚をきっかけに、意識と無意識の間(あわい)であるような作品を制作したいと思いました。

担当教員によるコメント

人が歩いて出来る道は目的地へ向かう直線とは決してならない。合目的には最短の距離で移動出来れば良いのであるが、地勢というには大袈裟かもしれないが、僅かな起伏や植生によって道は蛇行する。合理的だけではないその揺らいだ曲線は、豊かな景観となり我々を魅了する。これは人の行いが意思と条件によって成り立っている証左である。岸明星は花畑に同様の構造を看取している、俯瞰して見える地とそこにあしらわれた図である。彼女は自ら花畑である地を作り、そこに花を配していく。自ら直線とはなり得ない道の成り立ちを仕掛けているのである。まさしく意図と、それに向かう人の論理では推量れない行いの融合でありる。曲がりくねった道のように観るものを豊かな世界へ誘引する。

教授・井上 雅之

  • 作品名
    これまで。これから…
  • 作家名
    岸 明里
  • 作品情報
    作品形態:展示台置き
    技法・素材:陶
    サイズ:(画像左から)
    H250×W600×D300mm、H350×W400×D300mm、H250×W850×D200mm、H300×W400×D400mm、H320×W450×D400mm
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