動膜相

松木 建人

作者によるコメント

モノを作る事の利点は言葉に出来ないことも、形に出来ることだと思います。
それを模索していく中で、様々な素材と技法に出会い、銅板に鏨による打ち出しという方法を選び取ることができました。

担当教員によるコメント

鍛金技法における鎚起・絞り技法では多く金鎚と当金を使用するが、本作品《動膜相》で作者は木槌による突き出し技法と鏨による打ち出し技法を主に選択・使用して自身の意識と感情を「衝動とエネルギーの隆起」として銅素材に込めて表現・制作した金属造形作品である。また、溶接技法やロウ付け技法などの金属接合技法を使わずに単一素材である銅板を単一材料だけで制作する事を意図とし、作品の重要なテーマとした点も高く評価ができる。
本作品は作者が制作時に素材の変動、技法と工具の選択、体力と感覚の持続を意識し向き合う事で作品が変化~具現化して行く過程を金属工芸技法特有であると感じ、自身の世界観として表現した優秀な作品であり今後の創作と研究の展開にも期待するものである。

教授・手銭 吾郎