使いこなされるエレメント

青木 美羽

作者によるコメント

敷地である赤羽の小道は暗渠として現在も地下に雨水が流れており、地上には「人々が環境を使いこなしている」ようなあふれだしの風景が見られる。一方で近年、暗渠沿いの民家がマンションに建て替えられ始め、地域住民たちの交流場所は失われつつある。

そこで私は、魅力的に感じた暗渠沿いの風景を延長しつつ、この住宅地の隙間に新たな公共空間を提案する。道沿いに点在する建築と、それらと既存の民家をつなぐように暗渠を地上に再生した水路を設計した。

風景を延長する手法として、まちに現存する使いこなされたエレメント(老朽化した民家、塀、地下の水流など)を形を変えて再構築した。この道の本来の姿のように、人々が余白を各々の用途で使いこなすことを誘発する。

担当教員によるコメント

慣れ親しんだ身近な住環境に着目し、その景観を激変させることなくよりよいものにする試みである。その土地が持つ良さと問題点を的確に分析し、既存の環境が持つスケール感に注意深く配慮して、暗渠になった水路を復活させるなど細部まで検討を重ね、地に足をつけた提案としてまとめていることが高く評価できる。

教授・岸本 章

  • 作品名
    使いこなされるエレメント
  • 作家名
    青木 美羽
  • 作品情報
    設計
    素材・技法:ヒノキ角材、スチレンペーパー、ワイヤー、スタイロフォーム、ボール紙
    サイズ:全体模型=H130×W1500×D500mm/部分模型×5=H300×W420×D594mm
  • 学科・専攻・コース