菅澤 ゆづき

作者によるコメント

動物の命の重さを軽視して飼育放棄や虐待、値段をつける問題に目を向けた作品です。へその緒(作者が産まれた時の体重)と動物の命を連想させる7種類の素材を入れた箱の重さを天秤で比べることにより、命の重さは人間も動物も同等であるというメッセージを込めました。

担当教員によるコメント

この作品の主要テーマは「生命の重さ」である。重さといえば、物理的な重量と精神的な重量がある。この作品でいえば、産まれたばかりの自分の体重3065gを片方の基準にして、それと同重量にした生命のマテリアル(羽毛、タマゴの殻など)を天秤にかけることで、物理的に等しい質量を持つことを再確認させる。しかしここで作者が言いたいことは、あえて物理的な重量を認識させることによって見えてくる、生命の背景にある精神的な重みにあるといっていいだろう。かねてより、日常生活にある生命を軽んじるような行為について批判的な立場でいる作者は、「生命の重さ」のなかにある現実と精神の二重性を、観客の体験から再認識させる装置として、大きな天秤を制作したのである。

教授・森脇 裕之

  • 作品名
  • 作家名
    菅澤 ゆづき
  • 作品情報
    インスタレーション
    技法・素材:鉄、アクリル、木材、へその緒、ウール・ファー、ハムスターの餌、牛脂、卵の殻、ぬいぐるみ、水、土
    サイズ:天秤=H780×W1200×D500mm/展示=H4000×W5000×D1000mm
  • 学科・専攻・コース