卒業制作優秀作品集2022
情報デザイン学科
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- 中川 碧人
シンプル
コンセプトモデル
技法・素材:cosボード、黒ジェッソ、傘、マットブラックスプレー、黒布
サイズ:H1600×W1800×D600mm
私は大学生になってから黒色のものやシンプルなものに惹かれるようになりました。そして、そのようなものを自分の身近に求めるようになりました。自分が好きなものを増やしたいと思い、身近なものの形を作り直しコンセプトモデルとして制作しました。
物の線を直線にしてシンプルな形にした作品で多くの要素を持つものからその要素減らしました。「靴」を例に出すと、紐があり靴底の凸凹した形や上から見た時の曲線の形、さまざまな材料の組み合わせなどの要素が挙げられシンプルから遠い存在です。そこから直線的なラインの形になるように作ることでしっかりと存在していながら自ら強く主張してこないところにかっこよさを感じることができます。そのかっこよさを作り上げるため身の回りにあるものをシンプルに作りました。
担当教員によるコメント
角ばった靴や正方形に広がる傘、これと対照的に身の回りのお気に入りのモノを見ると「良くデザインされている」と感じるかもしれません。それはデザイナーの作る喜びや願いに関わらず、人それぞれが感じる「デザインの良さ」でしょう。その「良さ」を追求することは豊穣な世界をかたちづくる一方で、あらゆるモノをデザインして、さらに「良いモノ」を追求する流行を生み出します。その際限のない拡大は社会を疲弊させ、やがてデザインに目を向けない契機にもなり得ます。この様な背景の中、現状を批判的に削ぎ落とした作者による「シンプル」という素直な表現は、資本主義社会における拡大するものづくりに対する警鐘としての意義を感じます。デザインが孕む問題をイメージさせる優れた作品です。
准教授・矢野 英樹