Shapes

河島 倫子

作者によるコメント

私の卒業制作は、アイデアより先に表現したい手法や興味のある分野(パネルにグラフィックを描きたい、立体物に興味があるなど)があり、それらをどう取りまとめて作品にしていくべきかに悩みました。
そこで、具体的なオブジェやグラフィックを制作する工程を挟みながら、興味のあることを頭の中で拡大して、解像度を上げていくことによってコンセプトの取捨選択ができました。
パネルへの描写方法としては、カッティングシートとアクリル絵の具を用いています。上野毛校舎とアートテークの二箇所で展示を行いましたが、どちらも環境や置けるオブジェが異なっていたため、パネルを一から書き直すなどのブラッシュアップを行いました。
オブジェを構成する工業製品は、どこでも買える物でありながら、自分が良いと思った色味や質感のもので統一しました。

担当教員によるコメント

「仕上げてくるデザイン」。河島は悩める天才だ。ベジェ曲線を扱う技術は日本でも5本の指に入ると思う。
沈黙を守り、締めきりをすこし過ぎた頃に突然すごいものを連出してくる。それが河島ルーティーン。
目をキラキラさせて。繊細だけにいろんなことに傷ついたこともあったかもしれないが、すごく熱い研究家でもあるので奮起してかならずいいものを仕上げてくる。納得したものでなければ見せてこない。いまのデザイナー達が忘れてしまった気骨を河島はもっている。憧れるぜ。もうすこしの間、その「仕上げてくる河島」を見ていたかったがどうやら学生生活もタイムアップになってしまったようだ。残念だが、そういうところが人生かもね。卒業して数年したら、まったく今と違った形で名前がでてくると思う。河島は絶対「仕上げてくる」。楽しみだ。考えすぎて熱くなった頭を一度からっぽにして幾何形態をグイグイかく。そのアウトラインからインスパイアされた異素材のオブジェクトを探し、組み合わせる。
2Dからできた3Dを鏡のように空間上で対峙させる実験的な試みだ。しかも短期間で。そんなのができる度胸と技術があり、目をキラキラさせてる奴なんて、ちょっといない。TOP21、おめでとう。河島は、やはり仕上げてきた。

教授・佐野 研二郎、非常勤講師・榮 良太、非常勤講師・ 小杉 幸一