Plant ratio

河原 香菜恵

作者によるコメント

植物の持つ比率を可視化する作品を制作した。
植物の美しさには、色の鮮やかさ・花弁の形・質感や触れたときの温度など、様々な要因がある。中でも「比率」に着目し本物の植物を用いて制作した。

植物の枝分かれする部分を直角に折り曲げ、画用紙に接着する。枝分かれ部分で直角に折り曲げることをルールに、枝を摘みとって自分なりの場所に配置し直すことなどはしていない。

植物の美しさを再現する方法に悩み、生物だからこその時間の制約に苦しみ、短い期間でも自分なりに植物に向き合った。植物の力をストレートに感じさせる作品になったと思う。ただ、作品制作を通して感じたのは比率がもたらす美しさだけでなく、植物の長い歴史や小さくも確かな存在感、個体それぞれの愛おしさには敵わないという気持ちだった。

担当教員によるコメント

具象と抽象、自然と人工など相反するものが交差しているところにこの作品の面白さがある。植物の花や葉を水平垂直に構成し、丁寧に水分を抜き、まるで植物標本のようにしていくという操作によって、科学、アート、デザインをつないでいくような、独自の表現世界となった。花をそのまま見ているだけでは気がつけない、自然の中にある秩序が露わになっているところが興味深く、「自然」の成り立ちの一部を垣間見たような魅了される作品である。どこまで手を加えるかのスタディをすすめていたが、操作をミニマムにすることが成功につながった。

教授・永井 一史、非常勤講師・岡室 健

  • 作品名
    Plant ratio
  • 作家名
    河原 香菜恵
  • 作品情報
    ポスター、植物
    技法・素材:植物、画用紙、インクジェットプリント
    サイズ:H63×W48mm(6点)、H140×W96mm(4点)
  • 学科・専攻・コース