卒業制作優秀作品集2022
絵画学科日本画専攻

  • A
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A

中村 冴子

技法・素材:岩絵具、顔料、水干絵具、雲肌麻紙
サイズ:H1300×W2310mm

A. direct

B. indirect

自らの作品に自分がふと感じる違和感というよりも不快感に近いもの、それは画面に投影された自分に対する感情である。
卒業制作ではダイレクトに自分を画面に投影した作品と、今できる限り自分から画面を遠ざけた作品を対比させた連作を試みた。
今回の制作を通して自らにとって絵を描くという行為が何なのか、改めて考える事が出来たと思う。これからも現状に満足する事なく制作を続けていきたい。

担当教員によるコメント

二分割された画面を繋ぎ止めるように、リズミカルな筆のストロークが幾筋も宙を舞う。いつしか筆跡は絡み合い、両極に引き寄せられ毬となる。タイトルで「direct」、「indirect」と作者が語る一対の作品。「引き寄せる感覚」と「突き放す感情」が、それぞれの固まりに投影されているのではないか。モティーフを描写することから始めた中村が、描きながら色とかたちを追いかける抽象表現へ変貌した。絵に向かう真摯な態度、絵画思考の確かな深化が見て取れる。そのうえで、「未完は永遠の完成である」と語った、宮沢賢治のことばを思い起こして欲しい。求める世界は限りなく広い。更なる鉱脈を追い求め、中村の新たな挑戦がいま始まろうとしている。

教授・武田 州左

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