卒業制作優秀作品集2022
絵画学科日本画専攻
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A
[Memoirs of My Noonday Devil] 真昼に訪れる悪魔の回顧録
技法・素材:赤ペン、封筒、岩絵具、アクリリックインク、吉祥麻紙
A. A Letter a Day 毎日、君に手紙をかいてあげる
サイズ:H2440×W1230mm
B. 14/02/1998:Deforesting a Seedling 1998年2月14日:苗木を伐る
サイズ:H2440×W1000mm
C. 31/07/2012 :The first time I saw my mom sobbing inconsolably.2012年7月31日:泣き叫びながら悲しむ母の表情を初めて見た。
サイズ:H2440×W1000mm
D. 14/02/2020:not seeing is a flower、 but knowing is mercy 2020年2月14日:見ぬが花、知るは救い
サイズ:H2440×W1000mm
E. 1.A Letter a Day 毎日、君に手紙をかいてあげる
サイズ:H2440×W1230mm
14歳の頃から、うつ病に苦しんで、人生を終わらせたかった。
でも、「すべての痛みと苦しみは過ぎ去るよって、きっと大丈夫になるよ」という手紙かメッセージなどを待っていたが、何も届いてなかった。
その後、僕は初めて自殺を試みてみたが、失敗した。
2020年、22歳の誕生日に葬儀を行い、自分の過去に区切りをつけ、同年10月、当時もらうことができなかった「未来からの手紙」をいつか送れるようにと、毎日自分宛に手紙をかいて、自分の気持ちを記録するプロジェクトを開始した。
「真昼に訪れる悪魔の回顧録」は希望であり、誰もが覗き見ることのできるパーソナルな日記であり、エンパシーを映し出す鏡なのだ。
その上で、生き続けるためのすべての理由を思い出させてくれるものなのだ。
担当教員によるコメント
ただ線を引いただけではない。縦2m、横10mを超える大作を白と赤のみで表現している世界観は圧巻であった。岩絵具の岩緋のみで辿られた「物語」「葬儀」を描いた作品は、一見するとペシミズムであるかのようだが、私は心地よく四隅まで見届けることが出来た。自分の存在や思想に対して執着し、真摯に向き合うほど危険性も孕むが、「生きる」と「絵を描く」がイコールになった卒業制作は集大成であると同時に、いつかネルソンさん自身が必要とした時に読み返す手紙になると確信している。「未来からの手紙」プロジェクト、そのコンセプトを見事に完成させたのだ。その切実な創造の時間を費やしたことを忘れないでいて欲しい。
准教授・千々岩 修