ものごとの成り立ち方のひとつ, 共役不可能
金 賢珍
作者によるコメント
人は今生きる場所からの影響を最も受ける。その中で自己は形成され、また様々な人と共存している。「場と人」をどこまで認知し、どこまで受け入れているのかが気になった。枠や線は制度でもあれば、本質でもあるように感じた。そこでキャンバスの枠を社会の枠と捉え、より本質的な繋がりとは何かを描きたいと思った。
担当教員によるコメント
卒制提出日が近いアトリエで、金さんから「ここに線を引こうと思う」と言われた。目の前の絵画は、何か、この先、を求めていた。一般的に考えると、かなり唐突なアイデアだったが、金さんがこの先に踏み出すために、絶対に必要な「線」になると確信した。当然、簡単に引ける、描ける、線ではなかった。自分にとって、この「線」は一体何なのか、多くの葛藤、模索を重ね、生まれた「線」。これは今の、金さんでしか描けない「線」であり「絵画」となった。金さんの制作、表現においてこれまで欠くことのできないテーマであったアイデンティティ、ナショナリティ、他者、枠、・・・。自身のリアルな問題意識を絵画に重ね合わせる、という途方もない挑戦が、実は同時に、まだ見ぬ絵画への挑戦になっていることは間違いない。金さんが生みだす表現の、真の強さを思い深く感動する。
教授・日高 理恵子
- 作品名ものごとの成り立ち方のひとつ, 共役不可能
- 作家名金 賢珍
- 作品情報『ものごとの成り立ち方のひとつ』
素材・技法:ミクストメディア
サイズ:H1620×W1303mm
『共役不可能』
素材・技法:ミクストメディア
サイズ:H2182×W2910mm、H1940×W5212mm - 学科・専攻・コース
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