I'm trying to catch my breath.

石山 未来

作者によるコメント

わたしが絵を描いているときに画面から生まれてくるものは、わたしの日常から近くも遠くもあり、心や身体の機微を縁取ってくれるような実感がある。そういった感覚が自分の内側と外側で行き来し、わからないなりに受け入れたりわからないままでも信じられるリアルを描きたい。絵画は私にとって自分と世界をつなげる中間地点に存在している。
絵を見て、たち現れた図像や色や形に、こうするしかなかったんだと、絵と見るひとの間でどうしようもない必然が生まれたら、わたしの目指すものになる。

担当教員によるコメント

彼女の絵画を見てまず驚くのは、その色彩感覚の素晴らしさだろう。色面が赤だろうと深緑だろうと、見る者は瞬時にその虜になってしまう。石山さんは「絵画は私にとって自分と世界をつなげる中間地点に存在している」と述べるが、その役割の多くを色彩が担っている。むろん中立的なモチーフの効果も「心や身体の機微を縁取ってくれるような実感」を見事に達成させている。石山さんらしい緩やかな「縁取り」は、形式主義的な抽象絵画や物語の面白さにのみ傾きがちな具象絵画とは似て非なる豊かさを生み出し続ける。それは森の中において偶然出くわした神秘的な泉のような秘密の装置かも知れない。彼女はそのような偶然的神秘をもたらすすべを生得的な資質として持っている傑出した画家である。

教授・中村 一美

  • 作品名
    I'm trying to catch my breath.
  • 作家名
    石山 未来
  • 作品情報
    素材・技法:キャンバス、油彩
    サイズ:可変
  • 学科・専攻・コース