Assemble

品川 及

作者によるコメント

生産と消費のサイクルが目まぐるしく変化し、ものとの関わり方がより無機質になっている。そこで、均質に物を生産するのとは違うもの作りが、別軸のものとの関係性や価値を持つのではないかと考えた。
この型は排泥鋳込という本来量産時に用いられる成形方法に、個体差や一点物という趣向を持たせようと試みたものである。
既存の型の持つ「組み方に決まりがある」「一つの型で一つの形状が作れる」という概念に対し、型をブロック状にし、積み木のように自由に直感的に構成することで、一つの型で様々な形状のバリエーションを作ることができる。
またその都度組み立てて使うため、必然的にズレなどの不確定な要素が介在し、同一の形状を作ることができず一つ一つが違った表情を持つ。

担当教員によるコメント

品川及くんの作品は、この許容範囲のルール作りを細かく計画している事が非常に興味深い部分だと考える。
偶然性や偶発性で出来上がったモノが必ずしも美しいとは限らない。どの範囲までが製品として質があるものか?
誰が製作しても、ある一定の質を保ちながら製品の個体差も生まれる。このルールを細かく設定する事は非常に根気のいる作業だ。
型の組み方の自由度とズレの許容範囲など、幾度となく実験、検証を行い、実際に製造現場で扱う材料と同じ物を使い、自ら窯で焼成しながら導き出している。
製造プロセスや生産工程までを見据えた考え方はこの先ますます重要となる。是非この研究で得た視点をこれからのキャリアに活かして欲しい。

講師・尾形 達

作品動画