かわいい

鈴木 小春

作者によるコメント

「自分にとってのかわいい」をテーマに、自分が気持ち悪いと思う節足動物を蜘蛛類・多足類・完全変態・不完全変態・甲殻類の5つに分類し、それぞれを装飾的に描きました。また、それらを日本のポップカルチャーの代名詞でもあるロリータファッションと組み合わせることにより、テーマである「自分にとってのかわいい」を鑑賞者にもより強く認識させる様構成しました。どんなものにもそれを好きな人がいて、それを突き放してはいけないという考えから、気持ち悪いものをモチーフに作品を作りました。

担当教員によるコメント

鈴木小春は、この数年一貫して「自身にとってのかわいい」を模索してきた。表現方法の変化先に生まれた集大成となる本作は、一見すると、可愛らしい洋服が並んでいるように見えるが、美しいエッチングによる描画をよく見ると服のあちこちに節足動物が描かれている。この作品は試行錯誤の末に彼女が感じる気持ちの悪いものと、誰しもが可愛いと感じるモチーフを組み合わせ画面構成することにより、自身のテーマを探求した先に他者への問いかけを孕む作品として結実した。この画面からは少しも気持ち悪さを感じさせないのは、銅版画の制作の工夫により軽やかな表現として用いて、視点を作品化できたからだろう。独創的な視点と制作の工夫を高く評価できる作品である。

准教授・大矢 雅章

  • 作品名
    かわいい
  • 作家名
    鈴木 小春
  • 作品情報
    技法・素材:エッチング、アクアチント
    サイズ:H840×W660mm(5枚)
  • 学科・専攻・コース