卒業制作優秀作品集2022
彫刻学科

稲又 洸太

2021.7.24.pm8.地球

技法・素材:楠、アクリルガッシュ
サイズ:H600×W4300×D4300mm

空気はどんな形なのだろうか。⽬には⾒えないが、確かに感じるその存在を私はこれまで形にしてきました。題名はその空気を感じた⽇時です。
「今、私に⾒えている星は⼩さな光に⾒えるけれど実際はどんな⾊や形なのだろうか。」この⽇私は夜空を⾒上げて思った。星が光っている原理や星の形状などは⼦どもの頃勉強したが、果たして本当にそうなのであろうか。殆どの⼈が宇宙には⾏ったことがなく、私達は⾁眼で地球から空を⾒上げることしかできない。
もちろん私もその⼀⼈で、空に⾒える星については本質的には誰も完全に説明できない。
そうなると可能性は無限に広がってきて、本当の宇宙はどんなものだろうと思った。
そんな空を⾒上げ宇宙について考えた瞬間の空気を彫刻にしました。

担当教員によるコメント

昔知り合いのダンサーが「私にとっての振付けとは体の動きを作ることではなく、体の周囲の空気の形をどう変化させるかということだ」と言うのを聞いた。稲又の作品を見たとき久しぶりにこの言葉を思い出したのだが、稲又がこのシリーズを作り始めたのが2020年、コロナの拡大とシンクロしていたことは殊に興味深い。本人が意図していたかどうかわからないが、他人とのディスタンス、つまり「他人の周囲の空気」が、まるで形を持って意識にのぼるようになった時期と重なるからである。形態的にはまったく抽象的で、そこに寓意を読むことは難しいが、時間をかけて木材から削り出されたカラフルな空気の形は、ふとした瞬間に思い出され、自分の体にまとわりついているような錯覚を引き起こすのである。

教授・髙嶺 格

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