眩暈

黒田 朋香

作者によるコメント

プラスチックの消える未来があるとして、
あふれ返る今のそれにはどんなプレミアがつくのだろう。

たしかに信じた価値の輪郭も
どうやら曖昧らしかった。

真価の姿をとらえるには
世界はあまりにも眩しすぎる。

眩暈は覚めない。

担当教員によるコメント

何を伝えているのか?青山で開催された卒業制作展に入り口付近にあった出品された作品をみせていただき、自分の頭の中で無作為に意味を探し始めていた。
テキスタイルは表現力に素材を通じて幅を持たせることが得意な分野だ。必然的に私の焦点が黒田さんの作品細部に移る。ある情報をできるだけ多くの人に伝える仕事は、いまもこれからも社会がデザイン界に対する欲求の一つだろう。本人も、これにこたえようと着衣を通じて表現しているのだ。よく見ると、地球環境や人の生活にかかわるメッセージが、選ばれた素材と独自に習得した技術を通じて意味となって編み込まれ、作品の魅力を増していた。そのオリジナルな表現は、本人が大学生活でもがいていた苦しみは何も感じさせず爽やかだった。

教授・藤原 大

作品動画