detour

高中 麻衣

作者によるコメント

自分のために花を選び、飾る。この時間、私は日々の歩みから少し離れ、ただ目の前にあるその時間を愛おしく感じることができる。流れるようにある生活も全て私になるのだ。時には立ち止まり、寄り道をすることは心に余裕を作り、気持ちを豊かにする。 私の織りなす花が、誰かの愛しく大切な時間を思い出すきっかけになるといい。

担当教員によるコメント

花と人の関係は高中さんが4年間一貫して追及したテーマです。繊維素材を巧みに使い分け、花を手塩にかけ育てるかのように織り上げた作品は、テキスタイル表現ならではの多彩な質感と鮮やかでありながら調和のとれた色彩で観る人を魅了します。植物の特徴を表現する方法として多重構造を作り出すなどの工夫を行なっており、複雑な織物組織を巧みに操る能力には目を見張るものがあります。特別な説明がなくとも花への思いが伝わることもこの作品の魅力です。繊維一本一本にまで愛情を込め、丁寧で妥協のないこだわりが表現力となっています。大学での学びの集大成として咲かせた決して枯れることのない花を、これから先も咲かせ続けてほしいと願います。

准教授・辛島 綾