写真の有する要素の分解・金属への置換と再構築

末武 花野

作者によるコメント

写真は現代において日常にありふれているものである。しかし日常に埋もれて見逃されがちだが、私は写真とはとても魅力的なものだと思う。
そしてその魅力とは写真の有する情報量である。立体物として見た写真はただの紙切れでしかないが、写真の中には色彩、空間、質感など実に多様で膨大な情報が詰め込まれている。
このような私の感じている写真の魅力を作品を通して伝えることで、多くの人により写真というものを楽しんでもらえたらと思う。

担当教員によるコメント

自分で撮影した写真が物足りないと感じたとき、空間表現、あるいは奥行き(depth)を改善することで立体感の表現不足を解決できる場合があります。写真の世界に没入できるような良い写真には、その場を切り取った空気のような奥行きが存在し、自分がその場にいるかのように錯覚する事さえあります。
末武は写真の奥行きや質感などの情報を再構成し、積層したレリーフ表現として読み解こうとしています。本作では3点の写真が提示されていますが、末武の指摘は被写体に向いている訳ではなく、写真というメディアに向けられている点が注目すべきポイントであると言えるでしょう。何気なく眺めている写真に一石を投じ、鑑賞者に知見を広げる提案を行った本作は、今後の展開を期待できる秀作です。

非常勤講師・澤田 将哉

  • 作品名
    写真の有する要素の分解・金属への置換と再構築
  • 作家名
    末武 花野
  • 作品情報
    技法・素材:アルミ板、アルミホイル、OHP用紙
    サイズ:H322×W236×D73mm
  • 学科・専攻・コース