時を刻むモノ

新田 まりあ

作者によるコメント

ファンタジー映画の世界観を具現化し、どこか不思議で目が離せない繊細さと力強さを作品のコンセプトに、天球儀をモチーフとした透かし彫りメインの作品を制作した。天球図には星の啓示が隠されており、空枠にあしらわれたツタとドラゴンの持つ無限の生命力とエネルギーにより、その啓示は封印されている。この作品はこうした幻想の世界を表現している。

担当教員によるコメント

こつこつと日々の仕事にあたる事が、金属制作においては大変有効だと改めて思い知らせてくれる人物であった。この学生は、その努力によって、自らの力で素材・技法の理に辿り着いた。日を追う毎に素材の扱いが的確になり、その表情を捉える目が養われていくのも見てとれた。卒業制作では、経験してきた鍛造や削りに加えて、透かしや可動の為の繊細な溶接、又、構造計画とも丁寧に向き合い、気配りのされた隙のない仕上がりに持っていった。ものとしては、思い描く物語の設定が多少個人的に過ぎ、見る側が世界観にダイレクトに入っていきにくい印象もある。そのため、高い技量が、その能力程に作品の強さとして現れて来ないのが勿体ない。自作を客観視出来る力を養い、資質をより良く形にしていってほしい。

准教授・留守 玲

  • 作品名
    時を刻むモノ
  • 作家名
    新田 まりあ
  • 作品情報
    技法・素材:鉄、粉体塗装
    サイズ:H400×W320×D320mm
  • 学科・専攻・コース