燃える心 / Burnning With Fire

徐 秋成

作者によるコメント

この作品は私が記録した沢山の夢からいくつか印象深いシーンをピックアップして、一つの映像に制作しました。「夢と言うものは、人間が目覚めている時に、心の底に隠していた切実な願望が眠っているときに自由になって溢れ出し、頭の中に1つの出来事として描き出したものだと思います。」
そして、夢のなかにあるビジョンを逆算し、目覚めているときに隠した切実な願望や不安の背後に潜んだ原因は一体なんなんだろうと考えながら、自分の心の中にあるモヤモヤしたことを分析しようと思いました。
タイトル《燃える心》はソビエトのゴーリキー『イゼルギリ婆さん』の挿話からインスパイアされたものです。

担当教員によるコメント

作者の徐自身がアバターとして登場する、ゲームエンジンを用いて制作された映像作品。コロナ禍のロックダウン中に中国で起きた、河川から遺体が流れてくる不可解な事件から始まり、世界の混乱の中における無力感と、作者自身が見た夢が、不条理な連なりの中で交錯していく。恐竜のいる草原を駆け抜け、中世ヨーロッパを思わせる世界で甲冑の兵士と戦い、現代の都市空間で治安部隊と戦う女性。そして未来の、性別も人種も不明な異星人たちもまた戦い続ける。社会の混乱の中で感じられた抑圧と葛藤とを乗り越えんとするように、徐自身のアバターは、燃え上がる森の中で自分自身の、しかしポリゴンで出来た心臓を高く掲げる。ゲームエンジンに特有の、現実と似ていながらも何処か異なる奇妙な質感やリアリティは、この数年間に起きた現実の混乱と重なって見える。この混乱の時代の中におけるリアリティと、作者の強い決意を力強く描いた作品だ。

講師・谷口 暁彦

作品動画

  • 作品名
    燃える心 / Burnning With Fire
  • 作家名
    徐 秋成
  • 作品情報
    映像(7分47秒)
    技法・素材:Unity Blender、Premiere Pro
    サイズ:H3000xW7000mm(メディアスクリーン)
  • 学科・専攻・コース