方言新聞

阪口 晴菜 

作者によるコメント

方言という人が声に出す「音の情報」を、人が目で見る「文字の情報」である新聞に落とし込んだ時の「方言と標準語の違い」や「方言を文字にした時の違和感」を発見する作品です。11の県と府で使われている(使われていた)方言を、役割の違う3枚が重なった新聞をめくり知ることができます。

1枚目:標準語の記事を方言に変えた新聞。
2枚目:1枚目で変化した部分に色をつけた新聞。
3枚目:標準語で書かれた新聞を使い、1枚目で変化した部分に色をつけた新聞。

選んだ県や府は、青森県・群馬県・富山県・愛知県・大阪府・京都府・広島県・高知県・福岡県・鹿児島県・沖縄県です。各地域から1~2つ、標準語との差が大きい方言がある場所を選択しました。また、記事や広告は方言に多く変化する言葉を選んで自作しました。

担当教員によるコメント

自分が話していた言葉が実は方言だった。それは他の地域の人には別の意味にもとれる言葉でもあった。作者の坂口晴菜はそんな自分の経験から「方言」に興味を持ち日本中の方言を調査した。それをどのような作品にすれば良いのか? 試行錯誤する中、人が声に出す方言の「音の情報」を、人が目で見る「文字の情報」に変えるアイデアが浮かぶ。そして生まれたのが「方言新聞」である。ここからは「新聞」の紙面デザインの研究も加わる。最終的に新聞一面のコンテンツもすべてオリジナルでつくり、新聞の特徴でもある紙を捲る行為を作品の要素に加え、方言の変化を見て、読んで、声にだして、楽しめる作品に仕上げた。自身の経験からスタートした作品は多くの人の共感を生む作品へと深化した。

教授・宮崎 光弘