Everyship

加藤 優奈

作者によるコメント

誰かと話していると、同じ言語を分かち合いながらもこんなにもすれ違ってしまうものなのかと悲しくなる時がある。空間の中での労働、体の動き、そのへんの道に転がっているような素材、重なって分かち合えるピースが1つでもあったらいいなと思う。私と作品(モチーフ)と他者の、それぞれの距離を感じながら、関わり合い方を探っていた。

担当教員によるコメント

描く力を持つ彼女は、日々のなか受け止めてきた様々な出来事を対象にして、数々の魅力的な作品を制作してきた。しかしそこで満足することなく、何を描くべきか、画布はどのように置かれるべきか、絵画と外の状況をどう関係させるのか、行為をどのように作品に反映できうるのか、果敢に模索するのである。何より、常に満たされないものを抱えてきた。卒制では、展示スペースを区切られた空間にするために壁を立てることを計画し、セメントの土台を作り角材を立て壁を作った。と、その時の労働、使用した素材の感触、セメント袋の黄色、それらが作品の対象となっていくのである。最初から想定されていたことではない。その瞬間のリアルな体験に反応し、自分を揺さぶり作品にする。そのことが、見る者をも揺さぶる。

教授・髙柳 恵里

  • 作品名
    Everyship
  • 作家名
    加藤 優奈
  • 作品情報
    素材・技法:キャンバス、油彩、アクリル、ミクストメディア
    サイズ:可変
  • 学科・専攻・コース