コミュニティ, 拠り所

濱田 楓

作者によるコメント

九相図について興味があり、それを身近な存在でより細かい間隔で再現してみようと考え、家で採れたレモンの実が腐っていく姿のスケッチを開始したのがキッカケである。それを続けていく中で実や木に向ける眼差しは確実に変化した。木は初夏になるとまた実をつけ、秋になると色づいていった。その傍らで昨年の実はゆっくりと腐ってゆく。木の周りには沢山の虫や動物たちが集まる。その傍らで昨年の実は腐ってゆく。

担当教員によるコメント

生きとし生けるものが溢れるエネルギーに満ちた庭の木々の油彩と、その庭に産まれた一つのレモンを一年に渡り毎日描き続けたスケッチ。さらにそれらスケッチを撮影した静かな定点観測アニメーションと朽ち果てたレモンの不思議なレリーフ。これら作品が並ぶ部屋には、美しい光が差していた。海岸で拾った沢山の貝や祖父が育てる小さなサボテン、あるいは死した命が土に帰る循環をテーマにした「埋葬」のパフォーマンスなど、濱田さんは生命と永遠を見つめて制作を続けていた。生と死、あるいは極大と極小が一つの宇宙となる場として、一つの庭が見出されていた。彼女のアトリエの一角は、次から次へと作品が産まれる庭だった。その庭師だった。

教授・石田 尚志

  • 作品名
    コミュニティ, 拠り所
  • 作家名
    濱田 楓
  • 作品情報
    『コミュニティ』
    素材・技法:キャンバス、油彩
    サイズ:H1620×W1303mm

    『拠り所』
    素材・技法:ミクストメディア
    サイズ:可変
  • 学科・専攻・コース