無題

鄒 娜

担当教員によるコメント

この絵の魅力は、物語的なイメージ(コトバによる意味的世界)を感じさせないところにある。いや、コトバが介在しない絵画など存在しないから、この絵にコトバがないわけではない。ただ線を引いているだけでもそこにコトバが入り込むものだ。そうであるにも関わらず、スウナさんが線を引き、意味を想起させる形が生まれても、そこに意味を感ずることはないのである。つまり、形(意味)がありながら形(意味)がないという矛盾(相反)が生じている。古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスは、「相反するものの中に美しい調和がある」と語っている。まさにスウナさんの絵は相反する世界そのものである気がする。そして、具象抽象問わず意味的世界をただ再現する絵画の在り方に、改めて疑問を投げかけるきっかけを与えてくれるのである。

教授・栗原 一成

  • 作品名
    無題
  • 作家名
    鄒 娜
  • 作品情報
    『無題』
    素材・技法:映像
    サイズ:3分33秒

    『無題』
    素材・技法:セットペーパー、墨、布
    サイズ:
    H2720×W9000mm/
    H2720×W8600mm/
    H3000×W4000mm/
    H3000×W6000mm/
    H3000×W2000mm/
    H2720×W2500mm/
    H1000×W4500mm
  • 学科・専攻・コース